誰もいない風景02
工業地帯と海の見える公園からしばらく歩いた。
商店街をぬけ踏切を渡り切り、100円ショップが見えた。
細い路地を行く。ゴミ捨て場に大きな看板がかけられている。
子どもが描いたようなイラストがかすれて、木々の木目が見えている。
こっからは坂道の連続だ。斜めの地面に新築のようにきれいな
アパートが建っている。黄緑色の壁だ。
住宅街に入った。どうもこの坂道に無理に家を作り、住む人の
心境が分からない。郵便ポストと夜に電気がつく電話ボックス。
目的地とは逆だが、もう一度海を見たく坂を上る。急な坂だ。
左にはかなり下に公園がある。春になると桜が舞う公園。
公園の方を後ろにすると海が見える。陽はもう半分以上隠れている。
ゆるい坂道から下りる。遠回りだが、同じ道から帰るのもなんだか。
道路から外れると崖のようだが、うまい具合に家々が並んでいる。
玄関の花々がきれいに咲いている。チャイムを鳴らす。