誰もいない風景04
犬の散歩には丁度いい公園だ。ただ、広さ故にゴミが落ちてるので
ペットの拾い食いなどには気を付けなくてはいけない。
そんなことを思っているともう陽がほぼ落ちていて、
空の闇に紛れて橙色に照らされた雲がポツリポツリと浮かんでいる。
公園を出ると民家と大きな畑。畑の向こうには高校がある。
明かりがついているのでまだ学生が部活などをやっているのだろう。
右の畑がなくなると、左に消防車が入る倉庫が見える。
この倉庫の近くにあるのが何かの工場なのか、宅配便を
置くところなのかベルトコンベアをまわして作業している。
人は働いてないみたいだ。夜の中で無機質が無機質を照らす
光がまぶしくて、どこか懐かしいような寂しいような感覚を覚える。
小さな道路を一本はさんで、小屋のような木造の一軒家が見える。
隣の新築の家と比べると、あんまりにもぼろくて空き家のようにも見える。
信号を渡ってデンタルクリニックにぶつかる。左に行きマンションの横の
坂道を上り、街頭がポツリポツリと並ぶその道を誰にも知られず入っていく…。