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流れみずタワシのブログです。

フィクションエッセイ01

(エッセイはマンガで描いてるので嘘を書きます。)

腕にいくつもの注射痕。消えないアザだらけの顔。

暗闇が部屋を支配してる。砂嵐を映したテレビがその周りを照らしている。

きっと一生見つかることはないだろう、あなたをのぞいてはね。

見たらほぼ死体、息をしているから有機物、もう少しで遺体。

あなたが帰ってくる間、子どもの頃を振り返る。

子どもの頃はエッセイが好きでよく読んでた。

その人の著書の中には小説も混ざっててなんで

女性の作家さんなのに僕とか書いてるんだろうとか思ってた。

一生見つからない場所に隠れたりした。自分から出てきたけど。

今は一生、というか私が死んでも見つからない場所にいる。

よくおねしょをした。暗い二階が怖くて小学生高学年まで苦手だった。

友だちと殺害現場と偽ってネットに写真をあげてた。

いじめもしたしいじめられもした。高校に上がると引きこもりになった。

私は現実逃避しているのだろうか。今時ブラウン管のテレビの照明が

わずかながらゴミだらけの部屋と時々横切るハエを光らせる。

上階から音楽が流れる。作業にもってこいのリズムがゆったりのBGM。

私はさっきから一歩も動いてないのに気分が悪い。気分が悪いから

横になってる。横になっていて気分が悪く一歩も歩けない。

お腹が減っているような気がした。頭がクラクラする。

水が飲みたい。飲み物はあちこち転がってる。本来冷蔵庫にしまうべき。

手を広げて飲み物を取ってみる。炭酸の抜けたソーダがのどを通る。

むせて身体を丸める。背中に痛みが走る。ザーザーという砂嵐の

音がまた新鮮に聴こえてくる。帰ってくる、あなたがそろそろ帰ってくる。

今から裸足で逃げて行ってしまおうか。幸い雨は降ってない、はずだ。

カーテンを閉め切っているから開ければはっきりするだろが、

その余力すらない、というか走れない。どれもこれもあなたの狙い通り

なのだろうか。わたしはここで葬られるために生まれてきたのだろうか。

死にたくない、は殴られて気絶する瞬間に思うけど死にたいときは死にたい。

腐敗臭がする、私はまだ死んでいないが。弁当箱から臭っているのだろう。

ゴミだらけだ。ゴミと一緒に死ぬ。もう帰ってくる。あなたが帰ってくる。

死にたい、だけど死ねない。あなたに殺されるのを待っているのか。

玄関のカギの開く音がする。後ろに倒れてゴミ袋とぶつかる音がした。